研究内容

タンパク質分解技術の開発と創薬

化合物で細胞内のタンパク質を分解する技術は、10年前にはほとんど研究されていませんでした。
しかし現在ではPROTAC、SNIPERに代表されるキメラ化合物を使って、細胞内の標的タンパク質を選択的に分解することができるようになりました。

PROTAC/SNIPERは、標的タンパク質に結合するリガンド(標的リガンド)とE3ユビキチンリガーゼに結合するリガンド(E3リガンド)をリンカーで繋いだキメラ化合物です。
これらのキメラ化合物は、細胞内で標的タンパク質とE3ユビキチンリガーゼとの三者複合体を形成します。
その結果、標的タンパク質はE3ユビキチンリガーゼによってポリユビキチン化修飾を受け、プロテアソームで分解されます。

PROTAC/SNIPERでは、標的リガンドを取り替えることにより、目的とするタンパク質を分解するキメラ化合物を合理的に開発することができます。
このように汎用性の高い技術であることから創薬の新しいプラットフォーム技術として注目され、この技術を基盤とする創薬研究が世界中で活発に行われるようになりました。

当研究室では、がん細胞特異的に標的タンパク質を分解する技術、細胞内局所で特異的にタンパク質を分解する技術など、新しいタンパク質分解技術の開発を目指して研究を行っています。
またこれらの技術を基盤とする創薬研究にも取り組んでいます。


図.キメラ化合物 (PROTAC/SNIPER) による標的タンパク質の分解機構